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教えて!益永先生 ~パートタイム・有期雇用労働法について②~

昨日の続きで、パートタイム・有期雇用労働法への対策の進め方について教えてください。

はい。下記の流れで対策を進めていきましょう。
①社員タイプを整理し、「均等待遇」や「均衡待遇」の対象
(以下「取組対象労働者」という。)に当たる労働者を確認する。
②社員タイプごとに個々の待遇の現状を整理し、個々の待遇ごとに比較対象労働者との間で「適用の有無」、「決定基準」に違いがあるかを確認する。
③「均等待遇」が求められる場合は、全ての待遇について比較対象労働者と同じ取扱いにすること。「均衡待遇」が求められる場合は、待遇の「違い」が不合理か否かを点検・検討する。
④待遇に「法違反」が疑われる(不合理ではないといえない)場合は是正策を検討します。


なるほど。①の社員タイプって何ですか?

はい。会社によって名称は異なりますが、「契約社員」、「嘱託」、「準社員」、「パートタイマー」などです。まずは、名称等にかかわらず、「労働契約期間の定め」と「1週間の所定労働時間」の2つの観点から、取組対象労働者の有無を確認します。


具体的にどういった方々が対象になるのですか?

はい。大きく分けて下記の3タイプが取組対象労働者となります。
(1)短時間の無期雇用労働者・・・無期雇用+週所定労働時間が短い
(2)フルタイムの有期雇用労働者・・・有期雇用+週所定労働時間は同じ
(3)短時間の有期雇用労働者・・・有期雇用+週所定労働時間が短い


なるほど。「無期雇用+週所定労働時間がフルタイム」だと、いわゆる正社員(比較対象労働者)になるわけですね。「均等待遇」か「均衡待遇」の判断は昨日教えて頂いた考え方で整理するとして、②は具体的にどう整理するのですか?

はい。比較対象労働者に支給・付与されている待遇について、下記の2つの要素から、取組対象労働者との間で「同じ」か「異なるか」を①で整理した社員タイプごとに確認・整理します。
(1)待遇の適用の有無
→ 待遇が取組対象労働者を支給対象としているか
(2)待遇の決定基準
→ 待遇はどのような基準で決定されているか。また、その基準は、取組対象労働者と比較対象労働者で「同じ」か「異なる」か


なるほど。待遇ごとに総チェックをかけていく必要があるんですね。
③の均等待遇の場合は、比較対象労働者と同じ取扱いにする必要があるのは理解しましたが、均衡待遇の場合の不合理な待遇差はどのように点検すればいいですか?

はい。下記の3つの要素のどれに基づいて不合理でないのかを説明できるかどうかを検討します。待遇の性質・目的によっては複数の要素が関連する場合もあります。
(1)職務の内容
(2)職務の内容・配置の変更の範囲
(3)その他の事情(成果、能力、経験、合理的な労使の慣行など)


なるほど。待遇の決定基準が異なることは禁止されてないけど、異なるのであれば上記の3つの要素のいずれかで不合理でないことを説明できなければならないという事ですね。

はい。「パートだから」とか主観的・抽象的な説明では不合理でない理由になりませんのでご注意ください。


④の是正策にはどういった方法がありますか?

はい。下記の方法が考えられます。
①待遇改善による対応
②待遇廃止による対応
③業務見直しによる対応


なるほど。②の待遇廃止はできればさけたいので、①の待遇改善か③の業務見直しで、3つの要素のいずれかに基づいて不合理でない事をきちんと説明できるようにする方法で検討したいと思います。長々とありがとうございました。
【 パートタイム・有期雇用労働法について② 】
■ 社員タイプの整理を行い、均等待遇や均衡待遇の対象にあたる労働者の確認、現状把握を行い、「均等待遇」と「均衡待遇」が求められる労働者に関して比較対象労働者との違いがある場合は、不合理か否かの検討が必要
➾待遇に「法違反」が疑われる場合は是正策を検討
■ 取り組み労働者とは以下の3タイプ
(1)短時間の無期雇用労働者・・・無期雇用+週所定労働時間が短い
(2)フルタイムの有期雇用労働者・・・有期雇用+週所定労働時間は同じ
(3)短時間の有期雇用労働者・・・有期雇用+週所定労働時間が短い
であり、それぞれ比較対象が異なる
■均衡待遇のチェック点に関しては
(1)職務の内容
(2)職務の内容・配置の変更の範囲
(3)その他の事情(成果、能力、経験、合理的な労使の慣行など)
により不合理な点がないか説明ができなければならない