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教えて!益永先生 ~割増賃金の基礎編③~

前々回は1か月平均の所定労働時間の計算方法等、前回は割増賃金の種類や割増率について教えて頂きありがとうございます。本日は、最後に週40時間を超えた場合の割増賃金の考え方について教えてもらえますか?

わかりました。まずは何からいきますか?


週40時間を超えたかどうかの判断をするときの、1週間って何曜日から起算しなければならないというルールはあるのですか?

はい。就業規則等に規定がなければ「日曜日」が週の起算日となりますので、日曜日から土曜日までで判断することになります。


なるほど。当社は特に規定がないので週の起算日は日曜日ということですね。
次に振替休日を取った場合の割増賃金がいつも混乱してしまうのですが、いくつか事例を出してご説明頂けますか?当社は1日8時間、土日祝休みです。 ※法定休日は定めていないものとする。

はい。日給月給制の方が給与計算期間内において、振替休日を「同一週内」で取得した場合と「翌週」に取得した場合でご説明いたします。
ケース①:日曜日の休日出勤を同一週内の月曜日に振り替えた場合
・日曜日・・・休日出勤(実働8時間)
・月曜日・・・振替休日
・火曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・水曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・木曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・金曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・土曜日・・・休日
上記①のケースでは、日曜日に休日出勤をしていますが、同一週内で振替休日を取得しており、1日8時間、週40時間を超えていないため割増賃金は不要です。


なるほど。同一週内に休んでもらうのがポイントですね。会社としては、割増賃金が不要になるのは助かりますね。

そうですね。次に休日出勤を翌週に振り替えた場合でご説明いたします。
ケース②:土曜日の休日出勤を翌週の月曜日に振り替えた場合
・日曜日・・・休日
・月曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・火曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・水曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・木曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・金曜日・・・通常出勤(実働8時間)
・土曜日・・・休日出勤(実働8時間)
・日曜日・・・休日
・月曜日・・・振替休日
上記②のケースでは、土曜日の休日出勤を同一週内でとれておらず、振替休日が翌週になってしまったことにより、1日8時間は超えていませんが、日曜日から土曜日までの1週間でみたときに週40時間を超えているので、土曜日の休日出勤に対して、割増賃金(1.25)が必要ですね。ここまではよろしいでしょうか?


はい。そこまではわかります。

振替休日を取得できなければ、割増賃金(1.25)が必要ですが、翌週の通常出勤である月曜日に振替休日を取得しているので、通常出勤(1.0)の部分は相殺できますよね?


たしかに。日給月給制で給与をもらう側としては、休日出勤1日したけど、他の所定労働日に代わりに休みをもらえれば、相殺は納得できますね。

はい。ですが、本来の土曜日の休日出勤に対する割増賃金(1.25)から通常出勤(1.0)を控除しても土曜日の休日出勤の割増賃金(0.25)は余ってしまいます。この割増賃金(0.25)の支払いをきちんとしないと未払残業となってしまいますのでご注意ください。


なるほど。今まで、振替休日をとった場合の割増賃金(0.25)については考えていませんでしたので教えてもらって助かりました。

それは良かったです。割増賃金の計算は変形労働時間制などが絡むとさらに難しくはなりますが、まずは1日8時間を超えたかどうか、その後週40時間を超えたかどうかの基本をしっかり覚えていけば、その後の応用の計算も嫌でも覚えていきますのでご安心ください。


はい。全3回にわたりご指導ありがとうございます。わからなくなったら、その時はまたご相談させてください。
【 割増賃金の基礎編③のポイント 】
■週40時間の判断時にみる1週間の起算日は、就業規則に規定されていなければ「日曜日」となる
■振替休日を取得した場合の休日出勤割増賃金の考え方は、振替休日取得が“同一週内か否か”で決まる