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教えて!益永先生 ~割増賃金の基礎編②~

前回は「1か月平均の所定労働時間」の計算方法等について教えて頂きました。
本日は、割増賃金の種類や割増率について教えてもらえますか?

はい。まずは、割増賃金の種類からご説明いたします。種類としては下記の3種類がございます。
①時間外手当(残業手当)
②休日(休日手当)
③深夜(深夜手当)


なるほど。それぞれ、どういった場合に必要なのか教えて頂けますか?

はい。まずは①時間外手当が必要なケースと割増率は下記のとおりです。
①時間外手当(残業手当)
(1)法定労働時間※1を超えたとき・・・25%以上
※1 原則:1日8時間・週40時間
(2)時間外労働が限度時間※2を超えた時・・・25%以上
※2 原則:月45時間、年360時間等
(3)時間外労働が月60時間※3を超えたとき・・・50%以上
※3 中小企業については2023年4月1日から適用


(1)と(2)は同じ25%以上になっていますが、違いはなんですか?

はい。(2)の限度時間を超えた場合は、割増率が25%を超えるように努めることが必要とされている点が異なります。(努力義務)


なるほど。25%以上でも問題ないが、それを超える率(例:30%)を定めてくださいねという事ですね。

はい。続いて②休日で必要なケースと割増率は下記のとおりです。
②休日(休日手当)
(1)法定休日(週1日)に勤務させたとき・・・35%以上
参考:法定外休日に勤務させたとき・・・25%以上または割増不要


休日に出勤したからといって、必ず35%以上ではないんですね。参考の法定外休日に勤務したときの「割増不要」ってどういう意味ですか?

はい。法定外休日については、原則として法定労働時間の1日8時間以内で、かつ、週40時間以内であれば「割増不要」で通常の支払う賃金だけ支払えば法律上は問題ないんです。


そうだったんですね。休日出勤なのに割増不要のケースがあるのには驚きました。

結構知らない方は多いですね。③深夜で必要なケースと割増率は下記のとおりです。
③深夜(深夜手当)
・22時から5時までの間に勤務させたとき


これは何となくわかりました。2点ほど具体的な事例を交えてご説明頂いてもよろしいでしょうか?

わかりました。では、①の時間外労働と③の深夜の割増率の事例からいきましょう。
【ケース①:時間外労働と深夜】
所定労働時9:00から17:00の休憩1:00で実働7時間の場合で9:00から翌朝5:00まで勤務した場合
①17:00〜18:00 ⇒ 1時間あたりの賃金×1.00×1時間(法定時間内残業)
②18:00〜22:00 ⇒ 〃 ×1.25×4時間(法定時間外残業)
③22:00〜5:00 ⇒ 〃 ×1.50×7時間(法定時間外残業+深夜)


なるほど。法定労働時間を超えていない時間帯は割増は不要なんですね。

はい。では②法定休日労働と③の深夜の割増率の事例でいきましょう。
【ケース②:法定休日労働と深夜)】
9:00から24:00(正午から13:00まで休憩1:00)まで勤務した場合
①9:00〜22:00 → 1時間あたりの賃金×1.35×12時間(法定休日労働)
②22:00〜24:00 → 〃 ×1.60×2時間(法定休日+深夜)


なるほど。法定休日については8時間超えても超えなくても35%の割増が必要なんですね。

はい。おっしゃるとおりです。


よくわかりました。次は、週40時間を超えた場合の時間外手当の計算方法がよくわからないので教えて頂けますか?

はい。では、次回は週40時間を超えた場合について、ご説明いたします。

【割増賃金の基礎編②のポイント】
■割増賃金の種類には
①時間外手当(残業手当)
②休日(休日手当)
③深夜(深夜手当)
の3種類がある
■①時間外手当は一定の時間を超えると、原則として25パーセント以上増、更に一定の時間数を超えると50パーセント以上増が必要
■②休日手当には、法定休日に労働させた場合と法定外休日に労働した場合や条件で割増率が異なってくる
■③深夜手当は22:00~早朝5:00まで働いた場合に25パーセント増の割増賃金が必要である
■割増賃金は、労働時間の長さや、休日、どの時間帯に働いたか等の条件によって、割増率の加算が必要になってくる