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教えて!益永先生 ~労働保険料の年度更新の間違えやすいポイントについて~

これから労働保険料の年度更新をやろうとしているのですが、賃金集計をする際に間違えやすいポイントなどありますか?

そうですね。よくある間違いとしては、次のような間違いが多いですね。
①アルバイトやパート(以下「パート」という)を自動的に臨時労働者として集計してしまう
②兼務役員の役員報酬まで集計してしまう
③免除対象高年齢労働者の賃金を一度集計せずに控除だけしてしまう
④退職者の賃金や賞与の集計を忘れてしまう
⑤出向者の労災保険の集計を忘れてしまう
⑥エクセルの関数に頼りすぎて間違える


なるほど。①から具体的に説明してもらっていいですか?

いいですよ。①から説明しますと、雇用保険に加入しているパートは常用労働者で集計します。パートという名前だけで臨時労働者として集計してしまうケースが多いですね。


今までたぶん間違えてました。パートであっても雇用保険の加入の有無によって常用労働者と臨時労働者に分けて集計するんですね。

はい。常用雇用労働者の数字をそのまま同じ金額だろうと雇用保険の賃金にコピーしてしまうと当然誤った集計になるので注意です。②ですが、兼務役員の労働者としての賃金だけではなく、役員報酬まで集計してしまうケースもあります。


たしかに、雇用保険料の徴収も役員報酬部分は除いて給与計算してますね。総支給額をそのまま集計すると間違えそうですね。

はい。他に業務経費など集計する必要のないものを集計する間違いが多いので総支給額をそのまま集計する際はお気をつけください。


わかりました。③について教えてください。

はい。雇用保険被保険者の賃金を集計するときには、一旦免除対象高年齢労働者も含めて集計し、その後に免除対象高年齢労働者の賃金を控除しますが、最初から集計するのを忘れてしまい、さらに控除してしまう間違いも多いです。


なるほど。雇用保険料が免除されているから、雇用保険被保険者の最初の集計から誤って免除対象高年齢労働者を抜いて集計してしまうわけですか。やりそうですね。

はい。④の退職者や賞与の集計を忘れてしまうケースも多いので気をつけてください。特に給与ソフトから月ごとに賃金を出力する際など、チェックしないと退職者の分を含めて出力してくれないソフトもあるので注意が必要ですね。


私の給与ソフトは確かに退職者のチェックボックスありました。気をつけます。⑤の出向者も集計が必要なんですか?

はい。出向者の労災保険料については出向先で集計する必要がありますのでご注意ください。出向者の賃金については、出向元で支給されているケースが多いので、出向先の会社は出向元に出向者の賃金を確認する必要があります。
なお、雇用保険料については、出向元で集計しますので、出向先では集計しないようにしましょう。


わかりました。最後の⑥は何となくわかりますが教えてください。

はい。エクセルの関数でこだわって集計表をつくってみたが、単純に合計の集計対象から数名漏れていて、数字が間違っていたなど。エクセルの関数は便利ですが、完全に信用せずに、全体の合計金額だけでもズレていないか数秒画面で確認すればミスも防げたというケースはありますね。


ぎくっ。ついつい集計表の作成にこだわりすぎて必要以上の労力を使ったにもかかわらず、さらに数字まで間違っていたら報われないですね。

お気持ちは私もわかりますよ。見にくいより見やすいほうがいいですが、自己満足で終わらないように注意が必要ですね。


よくわかりました。教えてもらった点に注意してさっそく賃金集計します。ありがとうございます。
労働保険料の年度更新の間違えやすいポイント
年度更新の集計時には、下記について気を付ける必要がある
■アルバイトやパートを自動的に臨時労働者として集計しないこと
あくまで、雇用保険加入の有無で「常用労働者」と「臨時労働者」を判断すること
■兼務役員の給与の内、役員報酬は集計対象外
■雇用保険被保険者の賃金を集計する際、免除対象高年齢労働者の賃金を含めて集計すること
(後の計算にて、控除計算を行う)
■退職者分の賃金・賞与の集計を忘れないこと
■出向者の労災保険の集計を忘れないこと
出向者の労災保険料は「出向先」、雇用保険料は「出向元」で集計する必要がある
■集計用に自身で作成したエクセルの関数に頼りすぎないこと