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教えて!益永先生 ~限度額適用認定証について~

当社で急遽入院した職員が病院から窓口の医療費が高額にならないように会社に証明書を発行してもらってくださいと言われたそうです。言ってる意味がよくわからないのですが、会社として何をしてあげれば良いのか教えてください。

はい。おそらく「限度額適用認定証」のことだと思います。


「高額療養費」というのは、なんとなく聞いたことがありますが「限度額適用認定証」って何ですか?

はい。医療機関等の窓口のお支払いが高額な負担となった場合に、後から申請すれば、自己負担限度額を超えた額が払い戻されるのが「高額療養費制度」です。しかし、後で払い戻されるとしても、一時的に高額な医療費を支払うのは大きな負担ですよね?


たしかに。
後から返してもらえるのであれば、最初から自己負担限度額を超えた部分は払いたくないですね。

そこで「健康保険限度額適用認定証」というものを発行して、健康保険証と一緒に医療機関等の窓口に提示すると、1ヵ月 (1日から月末まで)の窓口でのお支払いが自己負担限度額までとなるんです。


どうやって発行すれば良いのですか?

はい。御社は、全国健康保険協会(以下「協会けんぽ」)で社会保険に加入されていますので、健康保険証に記載されている管轄の協会けんぽ支部に、「健康保険限度額適用認定申請書」を提出して「健康保険限度額適用認定証」の交付を受けてください。


わかりました。自己負担限度額ってどれくらいなんですか?

はい。自己負担限度額は被保険者の所得区分によって分類されます。また、70歳未満と70歳以上でも異なりますが、ここではわかりやすく70歳未満でご説明いたします。
①区分ア(83万円以上)⇒ 252,600円+(総医療費※1-842,000円)×1%
②区分イ(53万円以上)⇒ 167,400円+(総医療費※1-558,000円)×1%
③区分ウ(28万円以上)⇒ 80,100円+(総医療費※1-267,000円)×1%
④区分エ(26万円以下)⇒ 57,600円
⑤区分オ(低所得者※2) ⇒ 35,400円
()内は標準報酬月額の金額となります。
※1 保険適用される診察費用の総額(10割)です。
※2 被保険者が市区町村民税の非課税者等であることを指します。


覚えられないですね。

計算例を挙げた方がわかりやすいですね。例えば、1か月の総医療費100万円、所得区分ウ、窓口負担割合(3割)だとすると、本来「30万円」を支払わなければいけないところ、限度額認定証があれば「87,430円※」を支払えばよいことになります。
※自己負担限度額:80,100円+(1,000,000円-267,000円)×1%=87,430円


その差は大きいですね。その他に何か注意点などありますか?

はい。ずらずら言ってしまいますが、下記の点には注意が必要です。
①保険医療機関(入院・外来別)、保険薬局等それぞれでの取扱いとなる。
②保険外負担分(差額ベッド代など)や、入院時の食事負担額等は対象外となる。
③療養を受けた月以前の1年間に、3ヵ月以上の高額療養費の支給を受けた(限度額適用認定証を使用し、自己負担限度額を負担した場合も含む)場合には、4ヵ月目から「多数該当」となり、自己負担限度額がさらに軽減される。 例:区分ア140,100円、区分イ93,000円、区分ウ44,400円など
④被保険者が低所得者に該当する場合は「健康保険限度額適用認定申請書」ではなく「健康保険限度額適用・標準負担額減額認定申請書」で申請する。
⑤有効期間は、申請書を受け付けた日の属する月の1日(資格を取得した月の場合は資格取得日)から最長で1年間となる。
⑥申請書受付月より前の月の限度額適用認定証の交付は原則としてできない。
⑦限度額認定証は返却する必要がある。


なるほど。複雑なので、その都度相談します。ありがとうございました。
限度額適用認定証のポイント
■医療機関等の窓口での支払いが高額な負担となる場合、あらかじめ交付を受けた限度額適用認定証を健康保険証と一緒に提示することにより、1ヵ月間(1日~月末)の窓口での支払いが自己負担限度額までとなる
※対象外となる負担額がある等、細かな注意点があるため注意が必要である
■交付の依頼は加入している健康保険組合や全国健康保険協会へ申請する
■自己負担限度額は本人の所得と年齢(70歳未満または70歳以上)によって、それぞれ計算方法が異なる
■高額療養費制度は自己負担限度額を超えた額が支給される点では限度額適用認定証と同じだが、一度全額を支払い、後から払い戻されるという制度である