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教えて!益永先生 ~中小企業退職金共済制度について~

当社はこれから退職金制度の導入を考えており、中小企業退職金共済制度(以下「中退共」という)を検討しているのですが、概要を教えて頂けますか?

はい。中退共の概要として、主なポイントを整理すると下記のとおりです。
①中小企業が加入できる
②毎月の掛金は全額事業主負担(掛金は全額非課税)
③掛金は全16種類(短時間労働者はさらに3種類の特例掛金)


①中小企業の範囲について教えてください。

はい。中退共の目的が中小・零細企業の退職金制度の支援が目的のため、「常時雇用する従業員数」または「資本金の額・出資の総額」のいずれかが、次の範囲内であれば加入できます。ただし、個人企業や公益法人等の場合は、「常時雇用する従業員数」によります。
(1)小売業:従業員数50人以下または資本金・出資金5,000万円以下
(2)サービス業:従業員数100人以下または資本金・出資金5,000万円以下
(3)卸売業:従業員数100人以下または資本金・出資金1億円以下
(4)一般業種※:従業員数300人以下または資本金・出資金3億円以下 ※製造・建設業など


従業員数か資本金のどちらかが条件に合えばいいという事ですね。「常時雇用する従業員」ってどこまでカウントすればいいのですか?

はい。1週間の所定労働時間が、正社員とおおむね同等である者であって、雇用期間の定めのない者、雇用期間が2か月を超えて雇用される者です。


わかりました。②毎月の掛金は全額会社負担とのことですが、どのように納めるのですか?

はい。毎月の掛金は、事業主が指定した金融機関の預金口座から、毎月18日(金融機関の休業日の場合は翌営業日)に振り替えられます。


③掛金はいくらぐらいから選べますか?

はい。原則として5,000円から30,000円まで16種類ございます。短時間労働者※はさらに2,000円、3,000円、4,000円の3種類も選べます。
※1週間の所定労働時間が、正社員よりも短く、かつ、30時間未満の労働者です。


掛金の決め方としてはどういったものがありますか?

はい。例えば下記のようなものが考えられます。
(1)賃金を基準(例:160,000円未満は5,000円、160,000円 以上200,000円未満は8,000円…など)
(2)勤続年数を基準(例:2年未満は5,000円、2年以上5年未満は8,000円 …など)
(3)役職を基準(例:一般5,000円、主任8,000円、部長30,000円…など)
(4)定額方法(例:一律10,000円など)


掛金を途中で減額する変更は可能でしょうか?

はい。労働者が同意した場合、あるいは現在の掛金月額を継続することが著しく困難であると厚生労働大臣が認めた場合は、減額変更が可能です。


ありがとうございます。その他注意点などございますか?

はい。以下のようなものが考えられます。
・ 掛金の納付が1年未満の場合は、退職金は支給されない。
・ 掛金の納付が1年以上2年未満の合は掛金相当額を下回る額になる。
・ 掛金の納付が 2年から3年6か月では掛金相当額となる。
・ 掛金の納付が3年7か月以上になってから掛金相当額を上回る額になる。
・ 事業主が従業員に代わって退職金を受け取ることはできない。
・ 懲戒解雇事案があっても退職金の不支給は難しく、減額できても最大8割といわれている。


よくわかりました。前向きに検討したいと思います。
長々とありがとうございました。
【参考】 中小企業退職金共済制度に関する詳細はこちら
中小企業退職金共済制度のポイント
■中小・零細企業において単独では退職金制度をもつことが困難であるという実情を考慮して、国の中小企業対策の一環として制定されたものである
■対象は、「常時雇用する従業員数」または「資本金の額・出資の総額」にて条件を満たした中小企業である
■毎月の掛金は全額事業主負担(掛金は全額非課税)で、事業主が指定した金融機関の預金口座から、毎月18日(金融機関の休業日の場合は翌営業日)に振り替えられる。
■掛金は全16種類(短時間労働者はさらに3種類の特例掛金)あり、途中で掛金を減額する場合には条件がある
■退職時点での納付期間によっては、支給される退職金が掛金を下回る可能性もある
■事業主が従業員の代わりに退職金を受け取ることはできない
■懲戒解雇による退職であっても、退職金を不支給とすることは難しい