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ご相談内容
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定年を70歳にしなければならないと聞きましたが本当でしょうか?
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社労士の回答
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令和3年4月1日から企業は70歳までの社員に就業機会を設ける努力義務が課せられることになりました。
努力義務というのは必ずしも義務ではなく務めてくださいということで罰則もありません。
具体的な方法としては「定年制度の廃止」「70歳までの定年の引き上げ」「70歳までの継続雇用制度の導入」の3つがあります。
今はまだ努力義務の段階ですが、将来的には義務化を視野に入れた改正だと想定されるので、検討はおすすめします。
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ご相談内容
社員からパワハラだとの話がよく出てくるのですが、パワハラ防止について詳しく教えてください。
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社労士の回答
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パワ-ハラスメント防止法については大企業については令和2年6月1日から始まっており、中小企業においても令和4年4月1日から施行されます。職場におけるパワーハラスメントの定義は?
下記の①から③までの3つの要素を全て満たすものと定義されています。- ①優越的な関係を背景とした⾔動であって、
- ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたものにより、
- ③労働者の就業環境が害されるもの
ではどんな行為がパワーハラスメントになるのでしょうか?
代表的な言動の類型(6類型)としては、- ①身体的な攻撃(殴打、足蹴り、相手に物を投げる)
- ②精神的な攻撃(人格を否定する言動、必要以上に長時間の叱責)
- ③人間関係からの切り離し(集団無視や職場で孤立させる)
- ④過大な要求(業務と関係ない私的な雑用処理)
- ⑤過少な要求(嫌がらせのため仕事を与えない)
- ⑥個の侵害(職場外での監視や私物の写真撮影)
となります。
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ご相談内容
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社会保険の範囲が拡大されると聞きましたが本当でしょうか?
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社労士の回答
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原則として短時間労働者が社会保険に加入しなければならない条件として、
正社員と比べて、- ①週の所定労働時間が3/4以上
- ②月の所定労働日数が3/4以上
の2つの要件を「両方」に満たす場合とされてきました。
ところが平成28年10月から特定適用事業所(社会保険の被保険者(短時間労働者を除く)の総数が常時500人を超える事業所)で働く短時間労働者が下記の要件を満たすと、社会保険への加入が必要となりました。
- ①週の所定労働時間が20時間以上
- ②雇用期間が1年以上見込まれる
- ③賃金の月額が88,000円以上
- ④学生でないこと
今後は下記のような改正が行われます。
令和4年10月から被保険者の総数が常時500人超から「100人」超へ
雇用期間が1年以上見込まれるから「2か月」を超えて見込まれるに変更
令和6年10月からは被保険者の総数が常時100人超から「50人」超へ変更される予定です。
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ご相談内容
最低賃金が改定されると聞きましたが、最低賃金について詳しく教えてください。
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社労士の回答
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最低賃金を上回っているかどうかは以下の方法で確認します。
- ①時給の場合は 時間給 ≧ 最低賃金額
- ②日給制の場合は日給÷1日の所定労働時間≧ 最低賃金額 になります。
たとえば日給1万円÷1日(所定労働時間8時間)は時給1,250円になります。 - ③月給制の場合は月給÷1か月平均所定労働時間 ≧ 最低賃金になります。
たとえば月給20万円÷1か月(平均所定労働時間160時間)は時給1,250円になります。 - ④出来高払制その他の請負制(以下「歩合給」)の場合は歩合給÷総労働時間≧ 最低賃金になります。
たとえば歩合給25万円÷月の総労働時間200時間は時給1,250円になります。
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ご相談内容
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社員を雇う時には健康診断を実施しなければいけないと聞いたのですが?
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社労士の回答
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社員を雇う場合に限らず一定以上の時間働くパートにも適用されるので注意が必要です。雇入れ時の健康診断の実施時期については、「雇入れ時の直前又は直後」とされています。法律上は具体的な期限までは明確にされていませんが、少なくとも雇入れの前3ヶ月以内には実施するのが妥当と思われます。雇入れ時の健康診断の項目は下記のとおりです。
- (1)既往歴及び業務歴の調査
- (2)自覚症状及び他覚症状の有無の検査
- (3)身長、体重、腹囲、視力及び聴力の検査
- (4)胸部エックス線検査
- (5)血圧の測定
- (6)貧血検査(血色素量及び赤血球数)
- (7)肝機能検査(GOT、GPT、γ-GTP)
- (8)血中脂質検査(LDLコレステロール、HDLコレステロール、血清トリグリセライド)
- (9)血糖検査
- (10)尿検査(尿中の糖、蛋たん白の有無)
- (11)心電図検査入社時に社員が、医師による健康診断の結果(3ヶ月以内に実施したのもの)を提出した場合、雇入れ時の健康診断に相当する項目については省略することができます。
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ご相談内容
労災事故は注意が必要だと聞きましたが、どのような点に注意をすればよろしいでしょうか?
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社労士の回答
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労災事故の連絡があると、社長や人事労務担当者としては焦ってしまうこともあると思います。警察等が駆けつける事もありますが、落ち着いて対応することが必要です。
- ①被災した社員のケガの状況を把握する。
- ②通勤災害か業務災害のどちらなのかを確認する。
通勤災害か業務災害かで内容や対応が変わってきますのでしっかり確認しておきます。 - ③最初に治療を受けたのは、労災指定病院かどうか。
治療を受けたのが、労災指定病院かどうかは確認が必要です。また、すぐに病院を転院した場合は、転院先の病院も確認しておきましょう。薬局が病院の院外の場合、病院とは別に書類が必要となりますので、確認できそうであれば先に確認しておきましょう。 - ④第三者による事故かどうかも確認しておきましょう。
労災事故が第三者による場合は、別途「第三者行為災害届」も必要となりますので確認が必要です。
上記の①~④をヒアリングしておけば、今後の労災手続きに必要な書類が整理できます。
- ①病院の治療代のために提出する書類※5号用紙や7号用紙と言われます。
- ②休業(補償)給付の申請の有無
- ③労働者死傷病報告の必要の有無
- ④第三者行為災害届
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ご相談内容
労働基準監督署から出頭の連絡がありました。このようなことはよくあるのでしょうか?
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社労士の回答
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労働基準監督署の調査は大きく分けて①定期監督②災害時監督③申告監督④再監督の4つです。
- ①定期監督とは年度の監督計画により、労基署が任意に調査対象を選択した上で調査をします。原則として、予告なしで調査に来ます。
ただし、事前に調査日を連絡して来るケースもあります。 - ②災害時監督とは一定程度以上の労働災害が発生した際に、原因究明や再発防止の指導を行うための調査です。
- ③申告監督とは退職労働者や在職中労働者から申告があった場合、その申告内容について確認するための調査です。
- ④再監督過去に監督した結果、是正勧告を受けた後、その違反が是正されたかを確認するための調査です。
- ①定期監督とは年度の監督計画により、労基署が任意に調査対象を選択した上で調査をします。原則として、予告なしで調査に来ます。
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ご相談内容
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ねんきん事務所より内容について確認をするので、資料を持ってきてくださいとの連絡がありました。このようなことはよくあるのでしょうか?
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社労士の回答
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年金事務所の調査は、原則4年に1回程度実施されます。年金事務所又は指定された会場へ呼ばれるケースや郵送での書類の調査など方法はさまざまです。コロナ禍では、ほぼ郵送での対応が多いです。
具体的な調査の内容としては- ①社会保険に加入すべき人が正しく資格取得しているか?
- ②資格取得日が正しい日付(通常は入社日)になっているか?
- ③過去の算定基礎届は正しく届出されているか?
- ④昇給(降給)などがあった場合に正しく月額変更届が提出されているか?
などが調査の内容です。
保険料が遡って請求されることもあり注意が必要です。
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ご相談内容
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社員から傷病手当金について聞かれたのですが、どんな制度ですか?
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社労士の回答
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社会保険の加入者が、病気やケガが理由で会社を休んだ場合の給付金です。以下の要件をすべて満たす必要があります。
- ①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業である。
- ②仕事に就くことができない。
- ③連続する「3日間」を含み「4日以上」仕事に就けなかった。
- ④休業した期間について給与の支払いがない。
支給開始した日から最長1年6ヵ月受けることができます。
具体的な支給額(1日あたり)は、支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額÷30日×2/3
(支給開始日以前の加入期間が12か月に満たない場合、次の①または②のいずれか低い額を使用して計算します。
①支給開始日の属する月以前の直近の継続した各月の標準報酬月額の平均値②標準報酬月額の平均値「30万円」
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ご相談内容
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有給休暇を消化させなければならなくなったと聞きましたが、すべての人に対してでしょうか?
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社労士の回答
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2019年4月から年休が「10日」以上付与される労働者に対して、年5日の年休を取得させることが義務となりました。仮に年休を付与してから1年未満で退職となった場合でも、退職日までに年休を5日消化させる義務はあるので注意が必要です。
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ご相談内容
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管理職には残業代を支給していませんが、単純にそれではダメだと聞きましたが詳しく教えてください。
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社労士の回答
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労働基準法の中に管理監督者というものがあります。管理監督者とは、労働基準法第41条2号で定められた「監督若しくは管理の地位にある者」のことを言います。会社の「管理職」イコール「管理監督者」ではありません。
管理監督者は、下記の項目が適用除外となります。①法定労働時間
②休憩
③休日
④時間外手当
⑤休日労働手当
ということは、休憩や休日がなくとも労基法上は、時間外や休日労働に対する割増賃金は不要とされています。
管理監督者であっても下記の項目は適用除外となりませんので注意が必要です。
- ①深夜労働手当
- ②年次有給休暇
- ③労働時間の把握
管理監督者は割増賃金不要と勘違いされやすいですが、深夜労働手当(0.25)は必要となります。実態としては管理職手当などに深夜割増分を含めて支給するケースも多いです。
また、年次有給休暇は当然ありますし、労働時間の把握も必要となります。法的には、管理監督者の明確な判断基準は示されていません。過去の判例においては、①業務時間、業務量に広範な裁量があるか②人事権などの権限が相当な範囲で認められているか③地位にふさわしい待遇が与えられているか等をふまえて総合的判断されます。
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ご相談内容
36協定というものを今まで出したことがないのですが必要でしょうか?
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社労士の回答
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36協定は、労基法第36条で定められているために通称「36(サブロク)協定」と呼ばれますが、社員に法定労働時間(1日8時間、1週間40時間)を超えて残業をさせる場合には、必ず労働基準監督署に届出なくてはならないものです。
社員全員に対して、絶対に1分も残業させないのであれば36協定の締結の必要はありません。そのため、基本的には社員がいる企業で残業を行う企業は作成・届出が必要です。
36協定は令和3年4月1日から新様式に変更になりました。36協定の押印欄が廃止され、その代わりに、労使協定の合意内容をチェックする欄が新たに設けられました。
「36協定」は「36協定書」と呼ばれる労使協定と「36協定届」という届出書の2つがあります。「36協定書」とは使用者(会社)と労働者の過半数を代表する者との間で締結する書類であり「36協定届」とは使用者が協定の内容を記載・記名押印して、労働基準監督署へ届出る書類になり両方を兼ねることができます。36協定届は最長1年になるので注意が必要です
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ご相談内容
解雇したい職員がいるのですができますでしょうか?
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社労士の回答
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解雇については①「客観的に合理的な理由がある」②「社会通念上相当である」の2つの要件を満たさないと権利濫用として無効となります。
- ①は、勤怠不良、著しい能力不足、義務違反、経営上の必要性などですが、解雇はやむを得ない理由が求められますので認められるのはかなり至難の業になります。
- ②は、社員の情状(反省の態度、処分歴等)、他の社員の処分との均衡、会社の対応の落ち度等で判断されます。
解雇の種類は、①普通解雇②整理解雇③懲戒解雇の3つがあります。
- ①普通解雇とは
- 労働者の債務不履行を主たる理由とした解雇です。
- ②整理解雇とは
- 会社が経営不振の打開や経営合理化を進めるために、人員削減を目的として行う解雇です。人員削減の必要性、解雇回避努力、選定基準や手続きの妥当性など四要件を満たす必要があります。
- ③懲戒解雇とは
- その名のとおり、懲戒として行われる解雇です。制裁として行われるため、普通解雇と区別しています。
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ご相談内容
長時間労働させた場合に医師の診断がいると聞きましたが本当でしょうか?
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社労士の回答
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脳・心臓疾患の発症が長時間労働との関連性が強いとされているので、労働安全衛生法第66条の8により、該当者には事業者が「医師による面接指導」を行うことが義務となっています。
該当となる労働者とは①時間外・休日労働の時間がひと月「80時間」超えている②疲労の蓄積が認められる者の申し出があったの両方の要件が必要であり、問診その他の方法により心身の状況を把握し、これに応じて面接で必要な指導を行わなければなりません。
面接指導からおおむね1か月以内に「医師からの意見聴取」を実施し、結果を記録のうえ、「5年間」保存します。その後必要に応じて、①就業場所の変更②作業の転換③労働時間の短縮④深夜業の回数の減少⑤衛生委員会への報告のような措置を行う必要があります。
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ご相談内容
給与の銀行振込は労働基準法違反だと聞いたことがありますが本当でしょうか?
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社労士の回答
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賃金については、労基法第24条において、①通貨で②直接労働者に③全額を④毎月1回以上⑤一定の期日を定めて支払わなければならないと定められています。これを「賃金支払の5原則」といいます。
- 通貨払いの原則
- 賃金は、原則「現金」で支払う必要があります。実態としては、給与振込が多いと思いますが、それは、社員の同意があっての例外であり、社員の同意が得られず、現金がいいと言われたら現金払いにするする義務があります。
- 直接払いの原則
- 賃金は、「直接」社員に支払う必要があります。例え、親権者などの法定代理人であっても支払ってはいけません。ただし、労働者が病気欠勤中に妻子が賃金の受領を求めるなど、労働者本人の「使者」として、これに対する支払いであれば可能です。
- 全額払いの原則
- 賃金は「全額」支払う必要があります。ただし、社会保険料等の法定控除などは行ってもかまいません。また、損害賠償との相殺については、本人との合意があれば可能です。
- 毎月1回以上払いの原則
- 賃金は、「毎月1回」以上支払う必要があります。例え、年俸制の場合であっても毎月1回以上支払う必要があります。
- 一定期日払いの原則
- 賃金は、「一定期日」を定めて支払う必要があります。
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ご相談内容
試用期間内であれば問題なく辞めてもらえますか?
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社労士の回答
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試用期間とは原則として、期間の定めなしの契約をする場合に社員としての態度や能力などの適性を評価し、本採用するか否かを判断する期間のことです。それに対して有期雇用契約とは原則として、期間を定めて働いてもらう契約です。基本的に期間が終われば、雇用契約も終了します。
試用期間は終了後も長期で雇うことを前提としていますが、有期雇用契約は、本来、長期での契約を前提としていません。そのため、試用期間と有期雇用契約では、それぞれ本採用拒否や契約期間満了の際の手続きも異なります。試用期間の場合の本採用拒否は、「解雇」扱いとなります。そのため、合理的な解雇理由が必要となるとともに、30日以上前の解雇予告又は30日分の解雇予告手当が必要です。
有期雇用契約の場合には期間満了による「雇止め」となります。したがって原則として、30日以上前の予告や手当などは不要です。ただし、契約を3回以上更新または1年を超えて契約をしている場合は、30日以上前までに雇止め通知は必要となります。
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ご相談内容
会社で健康診断をさせなければならないと聞きましたが本当でしょうか?
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社労士の回答
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会社は年1回の定期健康診断を受けさせなければならないことになっています。また健康診断にかかる費用も会社が負担することになっています。ただし健康診断に要する時間は、労働時間ではないので賃金は発生しません。しかし会社が所定労働時間の中で実施し、賃金も支払っても問題ありません。
雇入れ時の健康診断や定期健康診断については労働時間ではないですが、特殊健康診断(有害業務(放射線業務、特定化学物質業務など)を実施している場合に義務とされている健康診断)は労働時間となりますので、注意が必要です。深夜業務に従事する社員については年2回の定期健康診断が必要となります。
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ご相談内容
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有給休暇を消化させるために半日有給休暇・時間有給休暇制度を導入しようと思いますが注意点を教えてください。
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社労士の回答
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年次有給休暇の目的は、賃金を保障したうえで心身の疲労を回復してもらうことです。そのため、年次有給休暇は原則1日単位での取得が望ましいとされています。今や法律が改正され、年次有給休暇は、1日単位以外にも半日単位や時間単位で取得してもらう方法ができました。しかし、どちらも義務ではないので、会社として採用するかどうかは自由です。
半日単位のルールを採用する場合は、半日単位で取得する場合の時間帯は決めておいたほうが良いです。
時間単位の取得については法律上、制限がかけられています。具体的には、「時間単位の上限は年5日まで」とされています。また、時間単位を採用する場合は労使協定の作成が必要となります。(労働基準監督署への届出は不要)
注意しなければならない点として、半日単位で消化された有給休暇は義務化されている日数に参入されますが時間単位で消化された日数は参入されない点を忘れないようにしましょう。
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ご相談内容
遅刻を繰り返す社員がいるので罰則を与えようと思いますがどんな方法がありますか?
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社労士の回答
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懲戒処分の種類には主に5つあります。
- ①戒告(かいこく)もしくは譴責(けんせき)です。
- 懲戒処分の中では、最も軽い処分です。戒告は「口頭」、譴責は「書面」にて社員に反省を求めるのが一般的です。
- ②減給です。
- 社員の賃金から一定額差し引くことです。ただし、減給する場合は
(1)1回の額は、平均賃金の半額以下
(2)総額が一給与計算期間の総額の10分の1以下
としなければいけません。 - ③出勤停止は一定期間、社員の就労を禁止する処分です。
- その間の賃金は支給されません。
- ④降格人事とは
- 制裁として、役職、職位、職能資格等を引き下げる処分です。
- ⑤諭旨解雇又は諭旨退職
- 一定期間内に退職届の提出を勧告し、退職届が提出されれば、依願退職扱いとする処分です。
- ⑥懲戒解雇懲戒処分
- 処分の中で最も重い処分となります。